このような「幸せ」の状態を実現するためには、どうするかを考えていくのが政治の役目だと思う。
この基本をしっかりと、議論し、認識しないようでは、あとあとの議論に実りは望めない。
下記のうち、2021年発行版をメインにし、2023年発行版をその補足として読んでいきます。
政治家で、己の考えているところを俯瞰的に語っている方は少ないと思う。
その中で、小川純也氏は「日本改革原案2050」を上梓され、尊敬に値する。
この書に対し、批判を加え、更なる知見をもって、小川純也氏に報いようと思う。
※「ピンク色のハイライト | 位置: 20」の意味は、kindle本での位置表示です。
日本改革原案~2050年(2021年版)
中心におきたい「人の幸せ(幸福感を軸とする持続可能な社会)」
ピンク色のハイライト | 位置: 20
「基本的なもの(衣食住)が満たされることは、人間の幸せにとって、とても大切な要素だと思います。でも、やっぱりそれだけじゃない。人の幸せは100% 主観的なもの。誰かがあなたの幸せをこうだと決めつけるようなものではありません。だから大切なことは、あなたが幸せと思える生き方を自由に選べる広い選択の幅、そしてお互いがそれを認め、尊重し合える懐の深い価値観、この二つが満たされる社会にしていく必要があると思うのです。(中略)私はこれから社会のあり方を考えるとき、全ての価値判断の軸に、経済成長や豊かさではなく、抽象的ではありますが『人の幸せ』を増やすのか、減らすのか、このことを軸に考えていきたいと思っています」
ピンク色のハイライト | 位置: 32
なる。「人の幸せ」を中心に据え、どの時代、どの国も経験したことがない課題を、世界に先駆けて解決する。そして「世界に冠たる国」をつくる。
「幸せと思える生き方」こそが、求めるべき最重要テーマなのに、著者は上っ面だけをさらしたに過ぎない。
もっと踏み込んだ分析をしなくてはならない。
「人の幸せは100% 主観的なもの。誰かがあなたの幸せをこうだと決めつけるようなものではありません。」といってるだけで、何かを言っているつもりになってるようだが、そうではない。
小川氏自身の幸せの定義を明確に打ち出すべきである。
わたくしは、幸福とは何かを述べるのに、マズローの欲求階層説を取上げてみます。
マズローによれば、
物質的欲求として
・生理的欲求(生命を維持したい)
・安全欲求(身の安全を守りたい)
精神的欲求として
欠乏欲求
・社会的欲求(集団に属したい)
・承認欲求(自分を認められたい)
成長欲求
・自己実現欲求(自分の可能性を試したい)
自己超越(利他的)
マズローの理論を一般的なコトバを使って下記のように分り易くまとめてみました。
・肉体的には、
衣食住が整備され、健康である状態
・精神的には、
個人のやりたいこと、人生の目的が明確であり、それに邁進している状態
家族とあたたかな交流がある状態
他者とあたたかな交流がある状態
上記のような、幸福を実現するためのデザインを考えるべきである。小川氏は、精神的な幸福についての議論から逃れておる様である。逃れてどこに行き場所があるのだ、あろうはずがない。真正面から取り組むしかないのだよ、小川さん。
オレンジ色のハイライト | 位置: 39
エネルギー・環境制約も相まって、もはや「より多く」生産し、「より多く」消費する「成長の時代」のモデルには頼れない。同時に技術革新も「成長の時代」の終わりを加速する。シェア・エコノミーやエネルギー効率の向上は、資源効率を極限まで高めるが、GDPを大きくする方向には働かない。世界もまた「成長の時代」から「持続可能性」の時代へと舵を切りつつある。
生産面から見たGDP は、国の産業全体で生み出された付加価値を足し合わせたもので、 各企業の生産性が高まれば、付加価値もそれにつれて、増大する。
小川氏は生産性(技術革新・エネルギ効率の向上)はGDPを大きくしない、と述べているが間違いである。経済学のイロハのところで、間違えるとはどうなっているのだ。グループの議論により本書が出来上がったらしいが、グループの力量が疑われる。ガンバレ。
オレンジ色のハイライト | 位置: 55
「経済成長」から「生活保障」へ。そして「生活保障」の中核には、全国民が無償で利用できる医療・介護・教育・福祉などの「ベーシックサービス(慶應大:井手英策教授)」と、最低生計保障のための直接現金給付(ベーシックインカム)が遡上に上がる。
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